

上級救命講習を受講しようと思った理由
それは、もっとも身近な家族のため、そして社会生活を営むなかで、救命という行動が必要になったときの心構えを身につけておきたいと思ったからです。
災害や事故、あるいは突然の病気など、いつ何が起こるかは分かりません。もし家族が目の前で突然倒れたり、意識を失ったりしたとき、何も知らなければ、ただ救急車を待つことしかできないかもしれません。
もちろん、専門的な医療行為ができるわけではありません。しかし、救急隊が到着するまでの間に、必要な救命処置を少しでも知っていれば、いざというときに何らかの行動を起こせるかもしれません。
そのわずかな知識や技術が、もしかすると大切な人の命をつなぐことにつながるかもしれない。
そんな思いから、今回、東京消防庁が実施している上級救命講習を受講することにしました。
上級救命講習の受講を申し込み
上級救命講習を受講してみようと思い、まずは東京消防庁のホームページで講習について調べました。
その結果、公益財団法人東京防災救急協会のサイトに、普通・上級救命講習などの案内があることが分かりました。
サイトを開くと、「普通・上級救命講習、応急手当普及員講習(個人向け)」という案内があり、その下に「新規講習のお申し込み」や「受講上の注意事項」などが表示されています。
そこから講習の種別や申し込み手続きについて確認することができます。
受講申し込みは、ホームページまたは電話で行うことができます。私は直接電話で申し込みました。
その際に、各消防署で開催される上級救命講習の予定日を確認し、自分の予定と合う日を選んで申し込みました。
また、正式な受講登録は、受講料の入金と、当該協会側での入金確認後となります。
上級救命講習(短縮)とは
今回、私が申し込んだのは「上級救命講習(短縮)」です。
通常の上級救命講習は8時間ですが、短縮講習では、事前にウェブ上で学習することで、会場での講習時間を6時間に短縮することができます。
そのためには、「電子学習室 上級救命講習用」というウェブ上の講習を受講します。
ウェブ上の講習テキストを読み進め、最後の確認テストに合格すると、短縮講習を受講することができます。確認テストは30問中24問以上の正解が必要です。
もっとも、受講申し込みの時点で短縮講習を選んでいますので、ウェブ講習そのものが特別に難しいというものではありません。
確認テストは繰り返し受けることができます。合格すると認定証が表示されますので、これを印刷するか、スマートフォンなどに保存して、講習当日に持参します。
いよいよ受講日 会場へ
私は芝消防署で開催される上級救命講習を申し込んだので、当日は都営大江戸線の大門駅から芝消防署へ向かいました。駅から消防署までは、徒歩で10分ほどの距離です。
芝消防署へは8時15分ごろに到着したので、まず消防署の入り口を確認しました。
その後、消防署の真向かいにイートインコーナーを併設したコンビニがありましたので、そこでお茶を飲みながら時間を調整し、8時50分ごろに芝消防署へ入りました。
1階のエントランスでは、講習会の係員の方が受講生を会場となる部屋へ案内していました。
会場は学校の体育館のように広く、すでにパイプ椅子が整然と並べられていました。私は係員の指示に従い、指定された席へ案内されました。
周りを見渡すと、ざっと100人、あるいはそれ以上いたかもしれません。すでに多くの受講者がパイプ椅子に腰を下ろしていました。
男女比では、女性が7割、男性が3割といったところです。
参加者の年代は、男女とも30歳前後から40歳くらいの方が多いように感じました。
今回の講習では、大人だけでなく子どもの心肺蘇生法も含まれています。そのため、家族の救命に備えることを目的として、この上級救命講習を受講している方も多いのではないかと思いました。

実地講習を始める前に
実地講習が始まる前には、まずスクリーンを見ながらの座学からスタートします。
最初は、応急手当の重要性についての講義から始まります。
今回の上級救命講習では、応急手当について学ぶ範囲が比較的広く、講習の重要な部分となっています。

心肺蘇生法を実際に体験
実地講習では、男女別のグループに分かれて行われました。
女性は女性同士、男性も男性同士で、4人で一つのグループに分かれます。
この4人で一つの蘇生訓練用の人形を使い、順番に訓練を行っていきます。
人工呼吸の実習では、事前に配布された専用のマウスピースを使用します。
現在の救命処置では、人工呼吸に自信がない場合などには、胸骨圧迫のみを続ける方法もあります。一方、訓練を受けていて人工呼吸を行う意思と技術がある場合には、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生を行います。
初めて心肺蘇生を行う場合は、手順や自分の姿勢にまごつくかもしれませんが、実際にやってみると、かなり体力を使うことが分かります。
私は17年ほど前に普通救命講習を受けた経験がありますが、それでも実際に胸骨圧迫を行ってみると、なかなか力が必要で息が切れました。
AEDを使ってみる
AED(自動体外式除細動器)を使った訓練も、4人を一つのグループとして、一人ひとり順番に操作していきます。
近くには指導員の方が見守っていますので、操作に戸惑ったり、手順が分からなくなったりした場合には、その場で操作方法を説明してくださいます。初めてでも心配する必要はありません。
AEDのケースを開けると、機器から使用手順のアナウンスが流れますので、その指示に従って操作します。
電気ショックを行う際には、傷病者に触れている人がいないことを確認し、周囲にも離れるよう声をかけてから操作します。
AEDから再び操作するよう指示があった場合も、周囲の安全を確認しながら、その指示に従って操作します。
AEDは、公共施設や駅など、さまざまな場所に設置されており、今では身近な存在になっています。
もし傷病者が発生した現場に居合わせたとき、必要と判断した場合にAEDを使用できるかどうか。そうした行動が、救命につながる可能性があります。

場内で配布された三角巾
その他の応急手当
その他の実地講習では、配布された三角巾を使用し、隣り合った受講者どうしで、圧迫包帯による頭部の止血や腕の止血、骨折時の応急手当などを実習しました。

テキストにある応急手当と法律についての項目
上級救命講習を受講してよかったこと
現実的に考えると、けが人や急病人の発生現場に居合わせることは、それほど多くないと思います。
私がこの救命講習を受講した動機は、やはり自分の周りにいる人、特に家族にもしものことがあったとき、少しでもこの講習で学んだ知識を生かして救護できたらと思ったからです。
もちろん、一度受講しただけで、講習で教わったとおりの救護を行うのは難しいと思います。それでも、実地で教わったいくつかの救護方法については、いざというときに役立てることができるように思います。
終わりに
この上級救命講習を受講して最初に感じたことは、小さなお子さんを持つお母さんと思われる女性の参加者が多かったことです。また、男性の参加者についても、単に救護の知識を得るというだけではなく、それぞれにしっかりとした目的を持って参加されているように感じました。
正直なところ、私も家族の救護を意識してこの救命講習を受講しました。そう考えると、身近な人のもしものときに備えて学べることにも、この講習の大きな意義があるのだと思います。今回、受講して本当によかったと思いました。
なお、今回受講した上級救命講習で発行された上級救命技能認定証は、3年ごとに再講習を受講することで更新されます。
一度受講して終わりではなく、3年ごとの再講習によって救命技能の知識やスキルを繰り返し学ぶことで、もしものときにも慌てることなく、できる限りの救護ができるようになるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
私自身、今回の講習を受講したことで、救命について改めて考えるきっかけになりました。この記事が、これから救命講習を受講してみようと思っている方の参考になれば幸いです。