日本橋でアマチュア無線移動運用
アマチュア無線の移動運用というと、山頂や高台から電波を飛ばすイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
しかし、今回ご紹介するのは、その逆ともいえる都心部での移動運用です。海抜数メートルといわれる東京都内やその周辺を実際に訪れ、どのような場所で運用できるのか、また都市ならではの楽しみ方や工夫について、写真を交えながらご紹介します。
ここはお江戸日本橋

日本橋でアマチュア無線移動運用
なぜ日本橋で運用をと聞かれるかもしれませんが、都内に住んでいて日本橋へ行ったことがないということ、それとあまりにも有名で日本の中心地としての場所柄、ここ日本橋で電波を出してみたいと思ったからです。
上の写真は、日本橋で移動運用を行ったときのものです。頭上には首都高速都心環状線が走っており、一般的に考えれば電波を出すには決して恵まれたロケーションとはいえません。また、郊外の河川敷のような広いスペースもありません。
それでも、日本橋は誰もが知る東京を代表する場所です。私が知る限り、この場所で実際にアマチュア無線の移動運用を行ったという話を聞いたことがなかったため、「それなら自分で運用してみよう」と思い立ちました。
日本橋のたもとには船着き場があり、運用できそうなスペースがあります。今回は東京駅側の橋のたもと、階段を数段下りた場所に腰を掛けられるスペースがありましたので、休日で人通りが少ない時間帯を選び、川面を眺めながら430MHz FMでCQを送出しました。
使用した無線機は ICOM IC-705、アンテナは ダイヤモンドアンテナ製 RH775(144/430MHz帯ロッドアンテナ)、送信出力は内蔵バッテリー使用なので5W以下です。
日本橋で移動運用してみて

千葉県市川市の局とRS55、埼玉県吉川市の局とRS54で交信し、合計2局とQSOすることができました。
頭上には首都高速都心環状線が走り、周囲は高層ビルに囲まれた環境です。そのようなロケーションで、この結果が得られたことは、自分としては十分満足できるものでした。
都心での移動運用は、基本的に短時間で切り上げるよう心掛けています。POTA運用のように認定地で一定局数との交信が求められるわけではありませんので、自分のペースで気軽に楽しめます。
日本橋は観光名所というよりビジネス街の印象が強い場所ですが、人通りは少なくありません。今回は他局からのお呼び掛けもありませんでしたので、その時点で運用を終了しました。
移動地は「日本橋移動」と相手局へお伝えしましたが、多くの局は橋の上からの運用ではなく、日本橋という地名からの運用と受け取られていたようです。そのため、移動地QTHはそのまま「日本橋」としました。
実際に日本橋のたもとから移動運用を行う方は、あまりいないのではないでしょうか。今回は、自分自身の興味から実際に運用し、交信実績を残すことが目的でした。
都市型移動運用の魅力
都市部での移動運用には、山岳移動とは違った魅力があります。
- トイレの心配が少ない
- 食事や飲み物の確保に困らない
- 公共交通機関を利用して徒歩で移動運用ができる
一方で、都内であっても東京湾臨海部など公共交通機関が不便な場所もあります。そのような場所では、自家用車による移動運用の方が便利でしょう。
今回、日本橋で移動運用を行えたことは、自分にとって良い経験となりました。決してアマチュア無線の移動運用に適した場所とはいえませんが、「東京の真ん中」で実際に運用し、交信できたことで当初の目的は十分に達成できました。
移動運用は、無線だけを目的にするのではなく、食事や街歩き、観光などを組み合わせることで、より楽しみが広がります。山岳移動とはひと味違う、都市ならではの移動運用を楽しんでみるのも面白いのではないでしょうか。
なお、現在日本橋の上を走る首都高速都心環状線は地下化工事が進められています。首都高速道路日本橋区間地下化事業では、2040年頃に日本橋川へ再び青空が戻る予定です。
まだ先の話ですが、その日が来たら、青空の下の日本橋で再び移動運用を楽しんでみたいと思います。
JR日暮里駅前移動運用

当初の目的は、JR日暮里駅前で移動運用をすることではありませんでした。谷中霊園近くの公園と谷中銀座商店街で運用してみようと思い、電車を乗り継いでJR日暮里駅へ向かいました。
谷中という地名は以前から知っていましたが、実際に訪れるのは今回が初めてです。駅を降りると、谷中霊園がすぐ目の前にあり、目的地へ向かう途中で駅前にも運用できそうな場所を見つけたため、予定にはなかった駅前移動運用も行うことにしました。
JR日暮里駅前では1局、谷中霊園の奥にある谷中天王寺公園では3局と交信することができました。交信したのは北区、杉並区、そして日暮里駅近くの局です。
北区の局長さんからは、谷中周辺の見どころや散策スポットなども親切に教えていただき、交信だけでなく街歩きの楽しみも広がりました。
谷中銀座通り商店街前での移動運用

初めて訪れた谷中銀座商店街です。ここは昭和の雰囲気を今に残す商店街として知られ、多くの観光客で賑わっています。
当初は、この商店街から電波を出してみようと考えていましたが、予想以上に人通りが多く、立ち止まって移動運用を行うのは難しいと判断しました。
そこで、写真のように商店街から少し離れた場所へ移動してQRVしました。厳密には谷中銀座商店街の中ではありませんが、目と鼻の先の場所であったため、移動地QTHは「谷中銀座」として運用しました。
交信できたのは1局。千葉県流山市移動の局とRS57/54で交信することができました。
やはり人通りの多い場所での運用は少し気が引けます。しかし、その不安を和らげてくれたのがBluetoothヘッドセットでした。マイクを手に持つ必要がなく、周囲にも違和感を与えにくいため、人通りの多い場所でも比較的落ち着いて運用することができました。
JR上野駅前ロータリーでの移動運用

谷中銀座商店街を後にし、谷中霊園の中を通り抜けながらJR上野駅まで歩いてきました。
このルートには歴史的な建物や、最後の将軍・徳川慶喜の墓などがあり、アマチュア無線の移動運用だけでなく、歴史散策も楽しめます。また、このような街には魅力的な飲食店も数多くありますので、事前に立ち寄り先を調べておくと、時間を有効に使いながら一日を満喫できるでしょう。
最後はJR上野駅前ロータリーのベンチに腰掛けてQRVしました。意外にもバスロータリーは空間にゆとりがあり、周囲に自然と溶け込めるため、移動運用がしやすい場所でした。それでも、周囲の利用者の迷惑にならないことを常に意識し、短時間での運用を心掛けています。
やはり人通りの多い場所では、Bluetoothヘッドセットは大変便利なアイテムです。無線機やマイクを手に持つ必要がなく、周囲にも違和感を与えにくいため、都市部での移動運用では心強い装備といえるでしょう。
都市部の公園で移動運用

都内には無数の公園があります。そしていくつかの公園はPOTA (Parks on the Air)の対象公園として登録されていますね。
公園は公共の憩いの場所なので、そこで一人アマチュア無線を運用することが公園の使用目的として許される範囲なのか私は判断できません。最近ではアマチュア無線の運用姿勢が怪しい部類に入るように感じます。特に都市部の人工密度が高い地域は防犯や治安意識の高さかが郊外の比較的自然の多い公園と比べて高いのではないかと感じます。
公園での運用で注意すべきは勿論、公園として利用されている方の迷惑にならないこと、公園利用者にとっては、残念ながらアマチュア無線運用は異質とみなされます。
昔、携帯などない時代は、公衆での通信機利用のマナーそのものがなかったし、現在に比べて、トランシーバに対して違和感は少なかった気もします。
その昔、山手線の内回りと外回りの車内からお互いがポータブル無線機を使って交信するという実験記事がラジオ雑誌に掲載されていたことがありました。本当に懐かしいことです。
現在手軽に持ち運びできるハンディートランシーバやポータブルトランシーバーの性能が格段に上がってきました。アンテナもそれら移動運用を意識したコンパクトで操作性の良いアンテナが追いかけるように商品化されて、移動運用の敷居も低くなりました。
これら移動運用を手軽にしてくれる無線機器関連の商品が、アマチュア無線を一層楽しいものにしてくれています。
まとめ
今回、日本橋・谷中・上野と都内を歩きながら移動運用を楽しみました。山岳移動とは違い、街歩きや歴史散策、食事などを組み合わせて楽しめるのが都市型移動運用の魅力です。これからも東京のさまざまな街を訪れ、新しい移動運用スポットを探してみたいと思います。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、皆さんの移動運用のヒントや、「こんな場所でも運用できるんだ」という新しい発見につながれば幸いです。
これからも実際に足を運び、自分で体験したことを大切にしながら、アマチュア無線をはじめ、趣味と学びの記録をお届けしていきます。
またお時間がありましたら、ぜひお立ち寄りください。
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