第一電波工業製マグネットアースシート「MAT50」を実際に車体へ取り付け、アンテナアナライザーを使ってSWRや共振点を測定し、その効果を検証しました。
ダイヤモンドアンテナ MAT50とは?
MAT50はダイヤモンドアンテナ製のマグネットアースシートです。HFモービルアンテナ使用時の高周波グランドを補助する目的で使用され、貼り付けるだけで簡単に設置できます。
本記事では、実際の取り付け方法から測定結果までを写真付きで紹介します。

車体後部に取り付けたMAT50
あるウェブサイトの記事でMAT50に再び興味を持った
アマチュア無線関連の記事を読んでいると、ダイヤモンドアンテナ製の車体アースシート「MAT50」を使用することで、モービルホイップアンテナでも良好なアースが得られるという記事が目に留まりました。
「そういえば、昔購入した同じアースシートがあったはずだ。」
そう思って机の引き出しを探してみると、購入したままビニール袋に入った新品同様のMAT50が出てきました。
当時は144MHz・430MHzのモービルホイップアンテナを運用していましたが、HF帯はSWRの調整が難しいという思い込みがありました。そのため、せっかく購入したMAT50も一度も試すことなくそのまま引き出しの中へしまい込んでいたのです。
しかし、今回目にした記事を読んでみて「磁石で車体に取り付けるだけのアースシートで、本当にHF帯でもSWRが下がり、自分の狙った周波数にきちんと合わせられるのだろうか。」という疑問が湧いてきました。
半信半疑ではありましたが、自分でも実際に試して確かめてみることにしました。
まずは、取付に必要な工具と測定器を準備するところからスタートです。
マグネットアースシートの取り付け準備の開始

マグネットアースシートを車体へ取り付けるために必要な工具は、ウォータープライヤー1本だけです。今回は、すでにアンテナ基台が車体へ取り付けられていることを前提として進めます。
上の写真は、左から
- アンテナアナライザー
- MAT50
- ウォータープライヤー
- 7MHzベースローディング型モービルアンテナ
ほとんどのアンテナ基台には16mm六角リングナットが使用されているため、ウォータープライヤーが1本あれば作業できます。
アンテナアナライザーを使用する理由
今回は、測定結果を数値で示し、読者の皆さんへできるだけ客観的な情報をお伝えするために、アンテナアナライザーを使用しています。
最近の無線機にはSWRを表示する機能を備えた機種もあり、その機能を利用してアンテナ性能を検証している動画や記事も多く見られます。しかし、これらはあくまでも簡易的な測定機能であり、メーカーも測定精度については特に保証していません。
一方、アンテナアナライザーは測定精度が高い反面、価格も高く、ハンディ機が1台購入できるほどの費用がかかる場合もあります。そのため、この測定だけを目的に購入するのは、コスト面ではあまり現実的とはいえません。
そこで一般的には、ダイヤモンドアンテナなど各メーカーから販売されている小型のSWR・POWER計を使用する方法でも十分実用的でしょう。
車体の形状をよく見てから、アースシートの取付場所を決めよう

今回使用した車は、私が普段モービル運用でも使用しているトヨタ・セリカです。
このセリカの場合、アンテナ基台を取り付けられる場所はリフトバック部分くらいしかなく、さらにリアスポイラーが装着されているため、写真の位置が唯一の取付場所となります。
もちろん、リフトバック上部に取り付けることも可能ですが、見た目や立体駐車場などでの接触を避けるため、現在は後部へ取り付けています。
ここで一つ、不安がよぎりました。
「リフトバックに取り付けたアースシートで、本当に十分なアースが取れるのだろうか?」
リフトバックは車体全体と比べると面積が小さいため、MAT50のアース効果が十分に得られるのか気になるところです。
もちろん、テスターなどを使えば車体との導通を確認することはできますが、今回はそこまでの確認は行わず、実際のSWR測定結果から効果を判断することにしました。
アースシートの電線をアンテナ基台へ接続する

今回使用したアンテナ基台は、ダイヤモンドアンテナ製です。
まず、アンテナ基台に取り付けられているゴム製の防水キャップを取り外します。
すると、その下にアンテナ基台とM型コネクターを固定している16mm六角リングナットがあります。先ほどご紹介したウォータープライヤーを使い、このリングナットを緩めて取り外します。
※アンテナ基台本体を取り外す必要はありません。
リングナットを外す際は、M型コネクターの下側を手で支えながらプライヤーで回すと、無理な力が掛からず作業しやすくなります。
リングナットを取り外したら、MAT50の丸形端子をM型コネクターへ差し込み、リングナットを元どおりにしっかり締め付けます。
※ リングナットは締め過ぎず、確実に固定される程度に締め付けます。
最後に防水キャップを元へ戻し、アンテナとMAT50を所定の位置へ取り付ければ、作業は完了です。
アンテナとアースシート取り付け後の測定と測定結果

取付作業が完了したところで、さっそくアンテナアナライザーによる測定を行いました。
使用した測定器は、コメット製 AA-170です。測定レンジを4~10MHzに設定し、7MHz帯付近から測定を開始しました。
その結果、アンテナは6.89MHz付近で共振していました。
そこで、アンテナの垂直エレメントを少しずつ短くしながら測定を繰り返し、目的の周波数へ同調点を移動させていきます。
今回使用したダイヤモンドアンテナ製 HF40FXS は、先端エレメントを伸縮させることで共振周波数を調整できます。今回のように共振周波数が目的の7.030MHzより低い場合は、エレメントを少し短くすると共振周波数は高くなります。逆に、共振周波数が目的より高い場合は、エレメントを少し長くすると共振周波数は低くなります。
調整は一度に大きく動かさず、数ミリ単位でエレメントの長さを調整し、その都度アンテナアナライザーで測定を繰り返すことが、目的の周波数へ正確に同調させるコツです。
この時点で、MAT50を取り付けたことにより、車体がアース面として正常に機能していることが確認できました。
あとは、普段運用している周波数へアンテナを調整すれば作業は完了です。
私はHF帯ではCW運用が中心のため、7.030MHz付近へ共振点を合わせました。この位置であれば、CWだけでなくSSBでも十分運用できる範囲をカバーできます。
今回の結果から、私のセリカではリフトバックへの取り付けでも十分な効果が得られることが分かりました。
また、今回の結果を見る限り、ワンボックスカーなどのバックドアでも、アース面として十分機能する可能性があると感じました。ただし、車種や構造によって結果は異なると思われます。
ダイヤモンドアンテナHF40FXWなら微調整も簡単

私が使用しているダイヤモンドアンテナ製 HF40FXW は、エレメントを固定するクランプ部分が指でも緩めたり、ある程度締め付けたりできる構造になっています。
しかし、走行中の振動によるエレメントのズレを防ぐためにも、最後は六角レンチでしっかり締め付けることをおすすめします。(抜け止め構造になっているため、エレメントが抜け落ちる心配はありません。)
アンテナアナライザーで目的の周波数へ同調させ、エレメントを固定したら、次は実際に無線機へ接続します。
私の場合、無線機側がBNCコネクターのため、測定時とは異なるBNC付きケーブルを接続することになります。そのため、接続条件が変わることで共振周波数もわずかに変化しました。
その点今回使用しているHF40FXWはエレメントの固定ナット(写真参照)を緩め、エレメントを上下に伸縮するだけで簡単に共振点を微調整できるので大変便利です。
僅かにずれた共振点の調整にはディップメーターなどは使用せず、無線機を実際に運用できる状態に設置した上で、無線機(FT817)に搭載されている簡易SWR計を利用して最終調整を行いました。
まとめ
今回使用したダイヤモンドアンテナ製 MAT50 は、期待以上に実用的な製品でした。
私のセリカでは、リフトバックへの取り付けという条件でも十分な効果が確認でき、HF帯モービル運用において車体アースを補う有効なアイテムであることが分かりました。
また、メーカーではMAT50を2枚使用することで3.5MHz帯にも対応可能とされていますので、さらに低い周波数帯での運用を考えている方にも魅力的な製品といえるでしょう。
長年使わずに眠らせていたMAT50でしたが、今回実際に試したことで、その効果を自分自身で確認することができました。
同じようにMAT50を眠らせたままの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度試してみてください。
7MHzモービルアンテナは長いため取り扱いに注意

アンテナ基台の高さを約80cmとすると、アンテナの地上高が約2.2mにもなります。そのため、スーパーなどのビルトイン型駐車場では、天井設備や配管などへ接触する可能性があります。入庫する際は十分注意してください。
また、カタログには耐風速の記載がありません。そのため、高速道路を走行する際は、安全のためアンテナを取り外して移動することをおすすめします。
今後、機会がありましたらHF帯モービルホイップアンテナによる移動運用や交信結果についても、本ブログでご紹介したいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、MAT50をお持ちの方やHF帯モービルアンテナのアース対策を検討されている方の参考になれば幸いです。
今後も、実際に試したことや役立つ情報を、自分の体験を交えながら発信していきたいと思っています。